URGをローリングさせるための機構を製作しました.
URGのような2Dのセンサを回転させて3Dスキャナを実現する際センサの絶対的な角度を把握するためにポテンショメータやロータリーエンコーダ等を用いると思います.今回これらは用いずにステッピングモータと零点検出のフォトインタラプタのみでローリング機構の制御を実現します.
当初,既存の市販のギアボックスを探していたのですが適当なものが発見できなかったのと,フォトインタラプタ等のセンサを内蔵したかったので自作することにしました.
モーター
使用するモーターはギアードステッピングモーターでこちらを使います.
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| PKP243D15A-SG3.6+LC2B06E |
昔赤道儀を作ろうと買ったもののギア比の設計をミスして使われず放置してたものです.4線のバイポーラタイプで市販のステッピングモータードライバ等で制御できます.今回はワンチップタイプのドライバを使用する予定です.
ローリング機構(ギアヘッドユニット)
ギアードモーターの軸にフランジ等を取り付けてURGユニットをそのまま固定しようと思いましたが,軸のスラスト荷重が心配なのと減速比がもう少し欲しいので平歯車を用いた減速機構をもう一段追加します.歯数24と56の平歯車を組み合わせ,最終減速比は8.6です.
零点検出用のフォトインタラプタも内蔵してみます.回転に伴うURGのケーブルの「逃げ」を確保するためケーブルが沿う部分を扇状にしてみました.
URGを接続する軸をスラストベアリングとラジアルベアリングで挟み込むような構造です.
これもFusion360でモデリングしてみました.通販(主にモノタロウ)で揃う部品で設計しました.
筐体内では,こんな感じに組み込まれます
URGが回転する際のケーブル(棒状に2本出てるヤツです)の取り回し状態です.
部品一覧
2022年7月現在,すべて通販で入手できるものです.
製作
メインのフレームとなる板材は3ミリ厚のジュラルミン板(A2017)です.普通のアルミ板で良かったのですがオリジナルマインドでベアリングホルダと一緒に売っていたので,興味本位でこれにしました.普通のアルミ板(A5052等)と比べてサクサク削れるような感じです.けがいてポンチを打ち穴を開けます.当初ハンドドリルだけで加工を行っていたのですが垂直が全然出せず卓上ボール盤を導入して作成しました.
定盤やハイトケージ,コンターマシンなどの学校の設備を自由に使えた学生時代が懐かしいです..
オリジナルマインドのベアリングホルダ(F696ZZ)には四隅に固定用の穴がありますが,ステッピングモータのギアボックス部分と干渉するので急遽固定用の穴を別に設けます.M2.6でタッピングしました.
ベアリングホルダの最終形です.ステッピングモータのギアボックスの軸に干渉する部分や,零点検出用のフォトインタラプタを設置する部分を加工しています.ここまで加工してしまうと強度が心配ですがそこまで負荷がかかるわけでもないのでとりあえず考えないことにします.
一番右の部品はフォトインタラプタの光を遮るパーツです.
この段階でギアボックス部分だけを仮組みしてみます.細かいところを失敗してますが,そこそこの精度が出せました.ケガキの段階の精度が後の加工に大きく影響すると痛感しました.この時点では出力軸の長さをミスしてフランジとは反対側にスラストベアリングが取り付けられていません..
今回使用したジュラルミン板(A2017)は耐食性が普通のアルミ板と比較して劣るようで,塗装すると良いとの情報を得たのでミッチャクロンと艶消し黒で塗装しました.いい感じです!
ステッピングモーターや平歯車,フランジ等の部品をすべて組み立てました.
上下のフレーム部と軸の平行を出すのが手間取りましたがなんとか完成しました.なんだかそれっぽくていい感じです
フォトインタラプタで遮光版が検出できるか,3.3Vをかけて10KΩ程でプルアップしてオシロで波形を見てみました.遮光版がフォトインタラプタの光源を遮る瞬間に若干波形に乱れが見られ,軸をゆっくり回すほど顕著です.艶消し黒で遮光版を塗装したことが関係しているかもしれません.(艶消し黒塗装の表面の凹凸で乱反射してる?)
波形の乱れは数ms間なのでソフトウェアで処理するかCRのローパスフィルタを介してマイコンで受けようと思います.
ローリング機構の制御
今回のURGのローリング機構の制御には絶対的な角度を検出するセンサは用いず,ステッピングモーターのオープンループ制御とします.電源ON後,フォトインタラプタによる零点検出を行った後ステッピングモータードライバ内のカウンタに保持している値のみで角度を推定します.現時点では脱調や回転軸のロックは想定していませんが問題になるようであれば磁気エンコーダ等を後付けして制御しようと思います.これも実験次第ですかね.
また,今回使用したギアードステッピングモーターは内部が平歯車で構成されており,バックラッシュも多いです.そのため引きバネを用いたバックラッシュ除去機構等を検討しています.
さいごに
ここまでURGローリング機構の90%程は完成しているのですがステッピングモーターの駆動回路が完成していないため,実際にステッピングモーターを回転させる動作実験ができていません.次はこれを製作予定です.
















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